2019/9/5

4Sはコミュニケーションから。組織を高める価値ある行動

今回は4Sについてお話していきます。

工場や倉庫といった作業スペースを有する仕事場では4Sを掲げて安全対策を行っています。最近ではサービス業やデスクワークでも仕事効率を上げるために掲げている事もあるようです。


4Sとはどのようなものか具体的にお話していきます。
 

4Sとは

  
4S(整理、整頓、清掃、清潔)
4S(よんえす)は、安全で、健康な職場づくり、そして生産性の向上をめざす活動で、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seiso)、清潔(Seiketsu)を行う事をいいます。
しつけ(Shitsuke)を加えて5Sも普及しています。

1 整理
「整理」は、必要なものと不要なものを区分し、不要、不急なものを取り除くことです。
要るもの、要らないものに分けるためには、何らかの判断の基準が必要になります。
現場の作業方法では必要と認められていても、その場所にその物が必要か、それだけの
量が必要かなどの改善の余地はないかを検討し、よりよい方法が見つかればそれを新しい判断の基準、すなわち作業標準として定めてゆくことが出来ます。

2 整頓
「整頓」は、必要なものを、決められた場所に、決められた量だけ、いつでも使える
状態に、容易に取り出せるようにしておくことです。工具・用具のみならず資材・材料を探す無駄を無くすことが出来ます。安全に配慮した置き方をすることが大事です。

3 清掃
「清掃」は、ゴミ、ほこり、かす、くずを取り除き、油や溶剤など隅々まできれいに
清掃し、仕事をやりやすく、問題点が分かるようにすることです。転倒などの災害を
防ぐことも大事なことです。機械設備にゴミやかすが付着していると製品に影響が出たり機械に不具合が発生することも懸念されます。

4 清潔
「清潔」は、職場や機械、用具などのゴミや汚れをきれいに取って清掃した状態を
続けることと、そして作業者自身も身体、服装、身の回りを汚れの無い状態にして
おくことです。

5 しつけ
「しつけ」は、決めたこと、教わったことを必ず守るように指導することです。
挨拶や言葉づかい、話し方、服装のほか、作業標準を守る、ものを定められた位置に置く、機械機器は決められた方法で取扱操作するなどの仕事の手順を教育すること
を含みます。



仕事に、必要なものだけが置かれ、必要なものがいつも同じ場所にあり、必要なものが汚れのない状態であり、いつ見ても職場がその状態であって作業者の身体や服装がきれいであるかという状態にあるようにする活動のことなのです。
 
4S活動は、職場を単にきれいにするという表面的なことでは無く、職場の安全と作業者の健康を守り、そして生産性を向上させる事であって、この好ましい状態を維持することなのです。


それではどんな場面で4S運動が必要になってくるのでしょうか。
 4Sが必要な場面とは

4S運動の必要性

 
私たちの仕事の中で、小さな間違いやムダ、ちょっとした無理やムラは常に起こり得ることです。

間違いによって業務の進行が滞り、やり直しが生じます。これが仕事に混乱をきたす
原因となってしまうのです。失敗で戸惑いや恐れが生まれ、作業者の冷静な判断力を
奪っていくのです。
 
同じような作業をしても、これらの要因で作業時間に差が出てしまいます。

こういった業務の進め方では、仕事にバラツキが生まれてしまいます。一つ一つは小さなバラツキであっても、積もり積もって大きなミスにつながるのです。

バラツキをなくすためにも4Sは有用です。
 
小さなムダや無理、ムラをなくすために職場の中の不要なものと必要なものをふるいにかけます。仕事の手順や方法を再度取捨選択することで、業務の習熟度も高まり、仕事の品質は高まります。
 
4S運動を徹底して行うことで、作業のしやすい職場環境を構築し、バラツキをなくして品質と生産性を高めることが可能です。

 

4S運動の難しさ

 
しかし、4S運動を徹底することは、なかなか難しいとも言います。

まず整理整頓のためのチェックリストを作り、毎日少しずつでも不用品を見極めることからはじめましょう。

またある程度不用品をなくしたら、今後はどこに何をどれだけ置くかを決めておきます。整理整頓のスケジュールも作成するといいでしょう。

せっかく4S運動に取り組んでも、職場の足並みが揃わないことも考えられます。ですから職場としてのルールを作り、マニュアル化することも大切です。
周知する・マニュアル化

職場でコミュニケーションを取りながら行うことも、4S運動を進めるためには大事
なことです。ひいては、組織力やチーム力を高めることにもつながります。

つまり単なる清掃にとどまらず、安全快適な職場を作ること。そして生産やサービス
の効率化や品質向上を目指すのが、4S運動という啓発活動を行う本当の意義なのです。

事例・ゴミの分別

 ゴミ捨て・ゴミの分別
よくある事例ですと、ゴミ箱の置き場所についてごみの分別を増やし元々あったゴミ箱置き場にほかに2種類の分別するごみ置きを設置しました。

つまり一カ所に3種類のごみ箱を設置することになり、一つ分のごみ箱しか置けないのに3つ置くことになるとどうしてもあふれてしまいます。周辺にゴミ箱から出てしまった細かいゴミくずが出てしまう。そして、分別用に張り紙がないのでごみが混ざってしまうなどの問題がありました。
 
 

解決方法

 
解決方法としてあげると、
1・ゴミ置き場の設置場所を変更する。
2・ゴミ箱に分別方法の札を設置する。
3・ゴミがあふれる前にゴミの回収をする。
(誰でも行えるようにゴミ袋を準備しておく)
4・仕事以外で出たごみは各自持ち帰る
(お弁当やお菓子の袋など業務に関係ないもの)
5・決まりを周知徹底すること

など、対策方法はさまざまで現場の規模などにもよります。

今回の事例はほんの些細なことですが、こうしたことを4Sとして考え作業環境を整える運動を行うことが重要です。

維持できてからがスタートライン

  
4Sや5Sで決められたことを守り、維持できるようになることができて初めて
スタートラインについたことになります。

異常も見える化し、人づくりができたことで全体に4Sや5Sの精神を伝えることができるようになったと言えます。

4Sや5Sの定着こそが、企業の土台であり礎になります。


品質向上のために4S

 
そして、乱雑で無秩序な環境で仕事をしていると、作業者のモラルが低下します。

環境が手抜き・いい加減・ショートカットを許してしまうのです。
手抜き・散らかった場所は危険
ゴミだらけの作業場なのに、仕事の手順はきっちりというのは、想像しにくいでしょう。

安全上の問題だけでなく、品質面にも影響があります。


さらに、道具1つ使うにしても、必要なものがすぐに見つからないとなると、作業効率も低下します。

乱雑で不衛生な環境は、何一つメリットがないのです。
安全で、高品質、効率よく作業するためには、4Sが欠かせないのです。
 
 

誰でもすぐにできる事

 
4Sは、誰でもできて、効果のあることです。
仕事の質の差は、この4Sができるかどうかが多大な影響を与えているのです。

同時に、たやすく後回しや放置されるものでもあるのです。


仕事は個人プレーではなく、組織的なチームプレーでもあります。自分を含めた組織が、うまく動くことは、どれほど価値のあることか。たかが整理整頓や清掃で、その価値を生み出せるのです。
チーム・組織

4Sは安全や品質面で価値ある活動なのです。